転用の三分類、ライフハックに向けて(システム、機能編)
前回に説明しました道徳的転用(善用、悪用)は転用するモノの外に軸がありますが、システム的転用、機能的転用はモノにもとづいて成されます。
システム的転用と例
システム的転用とは「モノの持つ性質、形、メカニズムに着目して成される転用」であり、言い換えれば「他と組み合わせるなり、本来とは別の文脈に組み込むことで成される転用」です。「モノを組み合わせて別の機能を持ったモノにする」ブリコラージュとも関係があります。
例としては
・椅子を積み重ねてバリケードにする(椅子の形、硬さに着目してバリケードとして扱う)
・生まれつき弱い自分の自律神経に対し、狙ったタイミングでコーヒーを摂取するなどして、自分の目的に都合いい効果を引き出す(弱い自律神経の、刺激に左右されやすい性質に注目して、その時に好ましい効果を引き出す装置として扱う)
機能的転用とその例
機能的転用、「モノの機能に着目して成される転用」は言い換えてしまえば「道具の想定された目的や運用方法を変えて使う」くらいのもので、一般的に言われる転用の大体はこれじゃないでしょうか。軍が自家薬篭中とするやり口なのでそれで例示します。
・敵の兵器(戦車、銃、爆撃機など)を鹵獲して自軍のものとして使う
・戦車を埋めてトーチカに転用する
転用はモノを習慣などの固定から解放する、根本的には創造的なものです。文学においては引用、パスティーシュなどと呼ばれ、パフォーマンスにおいては時にイロニーとしてあり、物事のかく乱や複雑性アップに一役買ってきました。体系的に行われるわけでもなければ、方法としても論じられることのない転用は、しかし自分の目的を達成しようとするライフハック、生活やその積み重ねとしてのいわゆる「人生」をちょっとずついじくっていくのに欠かせないものです。転用は避けて通れないものなのでメモとしてでも書いておこうと思い前回今回の記事を更新しました。疲れました。大した量ではないのですが…。