転用の三分類、ライフハックに向けて(道徳編)
転用とは
「想定されている目的、習慣的な用途とは別にモノを使うこと」
です。元来の目的や用途からの飛躍はモノの何かしらに注目することで成されますが、そこから転用は道徳的、システム的、機能的の3種類に分けられるんじゃないでしょうか。そんなことを思いつきました。
ということで今回は道徳的転用、つまり「モノを使う際の善か悪か(道徳性)に注目して成される転用」やそのアイデアについて書きます。正直、何に使えるのかは分かりません。
ケース① バックミンスター・フラー
フラーは目がキラキラしてる系の人たちに時折引用されるタイプの有名人ですが『宇宙船地球号操縦マニュアル』を読むかぎりでは思想の広さ、透徹、内容が並外れてて面白いです。
転用はフラーのよく使う図式の一つで、色々言ってる中から採ると
「兵器に使われるノウハウを生きるためのもの(livingly)に使え」
「軍事技術を人々(の生活のため)に転用(transfer)しろ」
というのがあります。
確認できる範囲では、フラーは「戦争や兵器はとにかく悪い!」と無邪気に主張してはいませんが、上記の主張には当然フラーの道徳的判断(理念からの判断)が大きく含まれていて、そこに主張の出所を見出せます。「兵器に使われるノウハウ」「軍事技術」の持つ機能性(「何をどの程度できるのか」)以上に、その使い道(の道徳性)に着目しなければこういう風にはなりません。道徳的転用とは理念にモノの機能を従わせることだと説明できます。
ケース② チャップリン
風刺映画『独裁者』でチャップリンはヒトラーの演説スタイルを転用しています。そのスタイルには人(ヒトラー本人曰く無教養な大衆)を煽る力があって(おそらくは単なるパロディーを試みただけで、本人の自覚はなかったと思います)チャップリンはそれをヒトラーとは全く違う目標に向かって観客に使いました。そこにはチャップリン個人の道徳的判断が働いています。ヒトラーの技術がチャップリンにとっての善にめがけて使われているのです。
次回はシステム的、機能的転用について書きます。